「黙ってるのも、いい加減にしろよ?」

うつむいた顔をあげさせられると、五十嵐の整った顔。

「この後、わかってんだろ?」

私は、横を向いた。

代わりになんか、なりたくなかった。

奥さんの代わりは、もうごめんだった。

「なあ」

五十嵐の顔が近づいてくる。

唇が、触れる。

私は彼の唇に、噛みついた。

「痛ッ!」

五十嵐が離れた。

「いい加減にしてよ!」

私は叫んだ。

「…何だよ」

驚いたように、五十嵐が私を見る。

下唇から血が出ていた。

ごめんだった。

奥さんの代わりとして抱かれるのは、もうごめんだった。

「仕事だから、何よ。

仕事だと称して、抱いてもいいと思ってる訳!?」

何故だか涙があふれた。