執事を呆れさせるほどって……どんな権力をお持ちなんですか!?

わがままにも程がある!

「しかし…」

上から下に視線を動かし、山田さんは私を見ると、
「どうしてあなたみたいな一般のお方を、雄平坊ちゃまは秘書にお選びになったのでしょう」
と、呆れたように言った。

それ、私のセリフです。

昨日バーで会っただけなのに、何であの坊ちゃんは私を秘書に選んだんでしょう?

“気まぐれ”とは言えど、すっごい謎。

私は山田さんに気づかれないように、ため息をついた。

しかも、1日だけじゃなくて毎日あの坊ちゃんに振り回されると思うと……。

私は深呼吸をするように、大きくため息をついた。