ビクッと、躰が震える。

私の反応を、五十嵐はおもしろがるように
「頑張れよ、俺の秘書さん」
と、耳元でささやいた。

甘く、とろけてしまいそうなテナーボイス……って、騙されるか!

真っ赤になった私に、五十嵐はニヤニヤ笑っていた。

んにゃろー!

いつか殺してやるー!


「それは無理なご提案ですよ」

紳士的な口調で、山田さんが言った。

「は、はい!?」

無理って…あんた執事でしょ!?

秘書を辞めさせるくらいできるでしょ!?

「雄平坊ちゃまのご希望ですから」

雄平坊ちゃまのご希望ですからって……私みたいなド素人でも秘書になれるってこと!?

だだこねれば何でも自分の思い通りになるって思ってるの!?

「雄平坊ちゃまのご希望となると、誰も逆らえませんから…」

ため息をつく山田さん。