「おぅ」


……え…?


私は,傘を貸してくれた人の顔を見た瞬間
固まってしまった。

だって,傘を貸してくれたのは
私の嫌いな小池だったから...。


「雨に濡れたら女王が台無しだからね」


なッ!?

私の事からかってるの?
むかつく!!


「何て,嘘で」


は?


「雨に濡れたら風邪引いちゃうし
妹の所に行くのも面倒だろうからさ。
傘返すのはいつもで良いから。
じゃあな」

「ちょっと!」


そう言って小池は,私の返事を聞かないまま
傘だけを私の手の中に残して歩き去ってしまった。


何よ,キザな事言って。

小池に借り無くったって使用人の誰かが貸してくれたし!


ムッと思いつつも
小池の親切に少しドキッとした。

悔しいから誰にも言わないけど。