満月は心を惑わす……。



ママが教えてくれたわ。



この惑わしに乗ってみようかな…。







『私……神楽が婚約者でもいいよ。』



神楽の目線が月から私に移った。



「えっ……。いいの?」



かなり驚いている。


『俊介先輩は私の王子様。神楽は王子様もどき。』



「もどきって何だよ。」



私たちは笑い合った。




そして唇がそっと重なった。



二度目のキス。



月だけが見てた。


ボコッ!!!



「いってぇ!」



私は鞄で神楽の頭を叩いた。



『まだ仮よ?調子に乗らないで!これから私にふさわしい男になってもらうから。覚悟しときなさい。』



うずくまる神楽に言った。



「わ、わかりました…。わがままお姫様…。」




『もう一度言ってみなさい♪』



「ヒィッ!!汗」