ガジュマルの木の下で

呼ぶ声に振り替えると
小柄な女性が立っていた。
彼女は
「帰ろう」
とだけ言って
私の前を歩いた。

「…お迎えにきてくれたの?」
と祥子が尋ねても喜志は

「散歩だよ」
と言いながらニマッと笑う。

その時
心なしか喜志が足を引きずってるように思えた。

「足、どうしたの?」



「生まれたときから」

それだけ言うと喜志は
また振り返って笑った。



私は、夕日で影になってる喜志ちゃんを見ていた

ほら もうすぐ家につくよ