帰り道
一緒に入社した女の子が
車で送ってあげる
と申し出てくれたが
祥子はそれを断り
歩いて帰った。
スーツのジャケットを片手で持ち、慣れない革靴を鳴らしながら
家へと歩いた。
ホテルから家までは
海岸沿いを通り、枯れた竹のような植物が倒れている畑を通り、歩いて15分くらいだった。

周りに人影は無く
思わず鼻歌がこぼれた。

バランスを取りながら防波堤の上を歩いた。
波の音と鳥の声に合わせて歌った。

しばらく行き、道を曲がり
畑の中の道を歩いていく。


真っ直ぐ伸びる一本の道

私は自分に号令をかけた。
位置について
用意


ドン


畑の間を私は走った。

貰った書類が折れ曲がるのも
髪の毛がボサボサになるのもお構い無しに。



きっと大丈夫。

走りながら、そんな事を思ったんだ。