華ちゃんはそのまま逃走してしまった。



「華ちゃんッ!!」



「春人……」



俺は華ちゃんを追いかけようとしたが玲菜に腕を掴まれた。



「春人、今の彼女?」


「違うよ。俺の一番大事な人!」



そう言って、俺は玲菜の手を振りほどいて華ちゃんを探しに向かった。



華ちゃん、急にどうしたんだろう。


自分もいちごみるく飲みたかったのに売れ切れちゃったから、俺に当たったとか?



俺が……玲菜と話してたから?



んなわけないか……、華ちゃんがヤキモチみたいなことしないよな……。



何処にも華ちゃんの姿が見つからない。
何処に行ったんだ?



「あっ!春人!!」



後ろから、誰かに呼ばれた。

振り向くと、


「なんだ、和哉か……。」



「なんだじゃねぇよ。お前、もうすぐ出番だぞ」



「うそっ、やば。もうこんな時間じゃん」



「早く、準備しに行くぞ」



俺は、華ちゃんを見つけることができないまま、『タコになったお姫様』の準備に行ってしまった。