タッタッタッ――……


放課後の誰もいない廊下を俺はひたすら走った。


愛する人がいる教室へと。



ガラッ――……



俺は教室のドアを開けた。



そこには、窓際の席に顔を机に伏せている華ちゃんの姿があった。


「……は…なちゃん?」


俺は華ちゃんの呼んだ。



「あ………、先輩……。」



華ちゃんの目は酷く腫れていた。


俺は胸が痛くなった。

どうして、大事な人を俺は守ってやれなかったんだろう。



俺は華ちゃんの前の席に座った。



「谷原から、聞いた………。」



さっき、谷原が俺のクラスまで来て教えてくれた。今日華ちゃんにあった出来事を――……



華ちゃんはちょっとビクッとし、辛そうな顔をした。



きっと、思い出したくもないのだろう。




「ごめん……。俺、肝心な時に華ちゃんを守ってあげられなかった………。」



「べ……つに……平気…です。」



全然、平気そうじゃない。