「失礼しまーす」
あたしを抱えたまま先輩と保健室へ入った。
「……って、先生いないじゃん」
先輩は、あたしをイスの上に座らせた。
「とりあえず、湿布とか貼っとけばいいかな?」
湿布を取り出して、先輩は言った。
あたしは、ただボーッとしていた。
「華ちゃん、足見せて??」
「あっ……はい………。」
あたしは、先輩に足を出した。
「あぁ~、こんなに腫れちゃってるよ……。」
先輩はあたしの足首に湿布を貼った。
「先輩、どうして?」
「ん?」
「どうして………。どうして、そんなにやさしくするんですか………?」
やめて………。
あたしなんかに、
やさしくしないで………。
やさしくなんかされたら、
………あたし、先輩をあたしの心の中に入れてしまう…………。
期待してしまう………。
人を信じてもいいのかな?って、
「さぁ?どうしてだろうね」
先輩は、微笑みながら言った。
「華ちゃん、また、なんかあったらすぐ俺に言って?絶対。」
「へ………?」
「いい?」
「はい……。」
先輩の言ってることがよくわからなかった。

