兄妹愛を描いた漫画や小説がたまに見かけられる。しかし、現実はそんなに上手くはいかない。
相手の気持ち。
世間からの目。
そして、血縁関係ということ。





普通の恋愛より乗り越えなければならない壁がたくさんある。






夏希ちゃんはその壁を乗り越えようとはしない。乗り越えて、壁を壊してしまうことが怖いんだ。……春人との関係を壊したくないんだ。






叶わぬ恋。夏希ちゃんはとても苦しかったんだろう。







夏希ちゃんはすごい。
春人にもし違う恋人が出来たら、あたしは耐えられない。それなのに夏希ちゃんは、彼女であるあたしに兄への想いを告白した。






「夏希ちゃん、ごめんね………」






「それは……いやみですか?」






夏希ちゃんは冗談っぽく言った。







「いやいや、そうじゃないよ!!」





「まぁ、いいです。………お兄ちゃんのことよろしくお願いしますね」






「うん。」








「それと、話を聞いてくれて……ありがとうございました。」






夏希ちゃんは春人に似た顔で微笑んだ。






「ううん。言ってくれてありがとね?」







「あはは。おかしいですよね?好きな人の彼女にこんなこと言うの。……でも、華さんにはなぜか言いたかったんです。」






夏希ちゃん……。
嬉しいよ。





夕日に照らされた夏希ちゃんの横顔はとても切なくなぜか輝いていた。