「わ、私の名は、レティシアという。そなたの名を、その…教えてほしくて……」

「俺の名前?」

滅多に来れないとはいえ、稽古のない日は猫集会所を駆け回っているから、
近くの村や街の人は、たいてい俺のことを知っている。

そういえば、このレティシアとかいう子は、この辺りじゃあまり見かけない茶髪だ。

どこから来たんだろ。

「レティシア、でいいんだっけ? 旅でもしてるのか?」

「……ま、まあ、そのようなものだ。この街には初めて来た」