「あ、あのっ……!」

俺が三毛猫の凜を撫で回していると、後ろから女の声がした。

振り向くと、女は声をかけたくせに、ビクッと肩を震わせる。

その拍子に、深く被っていたフードから飴色の長い髪がこぼれた。

里中さんちの咲枝の毛色に似てるな。

そういや咲枝はもうすぐ秋彦と見合いだったなぁ。

じっと見ていると、女は慌ててフードを被り直した。

「俺に何か用か?」

「あ、え、えーと…」

女は恥ずかしそうに俯く。