私、赤ずきん。 ~狼さんに恋して~

 
授業中、ずっと小田切くんのことを考えてる私。


いつもならお弁当のことで頭がいっぱいになるはずの4時間目の数学。


でも今日は小田切くんのことばっかり考えちゃって、お腹が空いてることすら忘れてる。


私の視線の先には、黒板じゃなくて小田切くん。


窓側の席に座る小田切くんは、ダルそうに頬杖をついて黒板を眺めていた。


小田切くん、今日は珍しく授業に出てる……。


いつもサボってるのにな……。


真っ直ぐ前を見ている小田切くんは、いつも通り眉間にシワをよせていた。


なにも黒板睨むことないのに……。


なんて思いながら、小田切くんの凛々しい横顔を見ていたら、自然と口元が緩んだ。


う~……。


小田切くん、かっこいーッ!


と、その時。


小田切くんがこっちを向いた。


なぜが赤い小田切くんの顔。


小田切くんは私を睨むと、口をパクパク動かした。


口の動きを読み取る。


「み、す、ぎ、だ、ば、か」


──……見過ぎだ、バカ


小田切くんは再び黒板の方に向き直った。


小田切くんの耳、真っ赤。


ていうか、私が見てたの気付いてたんだあ……!


嬉しい!


視線に気付いて振り向いてくれたのも、私だけに分かるように言葉をくれたのも、ちょっとすねたような照れ顔も……。


すごくすごく嬉しい!


またドキドキ音を立てる心臓。


私、異常かなあ……。