私、赤ずきん。 ~狼さんに恋して~

 
「そういや、さっきの何?」


何か思い出したのか、小田切くんが私に尋ねた。


「へ?

さっきの……って?」


「ほら、お前さっき犯人の写メ見せたじゃん?

でもその前に何か間違って写メ見せてただろ?

あれ、なんか気になった」


「ああ!

これのことっ?」


私は携帯を取り出して、さっき間違って見せちゃった写メを小田切くんに見せた。


道端に落ちていたハート型の犬の糞の写メ。


お気に入りの1枚。


「……何これ」


「え?

犬のウンチだよ?」


サラッと答えた私を見て、小田切くんは怪訝な顔をした。


「あ、ほらほら見て見てーっ!

このウンチね、ハートの形なんだよー!

昨日学校から帰ってる途中で見つけたの!

ハート型のウンチなんて珍しくない!?」


写メを見たまま動かない小田切くん。


「……あり?

お、小田切くん?」


小田切くんの顔をのぞき込むと、そこには怖~い顔があって、思わずビクッと肩が震えた。


「あ、あの……小田切く……」


「……ぶはっ」


怖い顔だったかと思うと、小田切くんは突然吹き出した。


そしてゲラゲラと涙を浮かべて大笑い。


私はキョトンと目を丸くして、ただただ小田切くんを見つめるしかなかった。


「お前ほんとヘンなヤツ!

犬の糞写メるバカがどこにいんだよ」


そう言ってお腹を抱えて笑う小田切くん。


かあっと赤くなる私の顔。


「な、なによー!

そんなに笑うことないじゃん!」


いくら怒っても、小田切くんはさらに笑う。


そんな小田切くんにドキドキしちゃう私の心臓。


「ははっ、お前最高」


小田切くんはポンって私の頭に手を置いた。


胸が締め付けられてるみたいに苦しくなる。