「けど……分かった」
あたしは息を吐いて杏のもとへ歩み寄った
パタパタと階段をおりて玄関まで向かう
角を曲がろうとした時、杏がキュッと靴の音をたてて立ち止まった
「杏…どうしたの?」
首を傾げ、前に立つ杏に後ろから声を掛ける
「創也、先輩‥」
力無い弱々しい声があたしの耳に届く
「え…?」
あたしはヒョイッと壁から見えないように顔の半分を出して見てみた
あ…
寒そうに薄暗い廊下の中、ただ一人壁に寄りかかって誰かを待っている男子生徒。
間違いなく、創也さんだ
「杏…」
後ろを向いて杏を見つめる
気まずそうに顔をうつむかせて悩む杏の姿


