「はいはい。わかってます。冗談だってば。」

リエが、あきれた顔して笑う。

「ふんっ!オレにだってな、いちおう、夢の中に出てくる女だっているんだからなっ!」

僕は、思わず今朝の夢の中に現れた女の子のことを口走ってしまった。

「へぇ~。夢の中にねぇ~。」

ニヤニヤ笑いながらリエが横腹をつついてくる。

「どんな子よ~。あ!わかった!A組のナナちゃんだ!」


「ちがう。」


「え~っ。う~ん。じゃ、同じクラスのジュンコちゃん?」


「ちがう。」


「えぇ~っ。あ~!もしかして、あたし?
 もぉ~ケンちゃんてばぁ~やぁあねぇ。」


「………。
 おまえ、はずかしくね?」


「…あはは。ちょっとね。あはははは…。
 ってだれなのよ~!」


「しらない。たぶん…。」


「えぇ~!?」


「オレもしらないし…。」


「はぁ~っ!?」