**************
初めて「健ちゃん」と
言えた席替え。

あの席で、アタシは随分
健ちゃんに近づけた。

こんな人なんだぁって
知ることができた。
このときにはもう、
たっちんに似てる人というのは
なく、健ちゃんという1人の
人間として見ていた。

しかし、
そんな楽しい時間も終わり、
次の席替えになった。

アタシはこの時、
健ちゃんのことを
好きでもなんでもなかったのに
心なしか、寂しく思ったのは、
もう恋が芽生えていたのかな?

引いたクジをもとに、席が
発表されていく。

「健ちゃん、ドンマイだな。」
発表していた男子が
健ちゃんに言う。

健ちゃんの席は全く変わっていなかった。
「気にしないことだよ。」
アタシが言うと、
その男子がニヤっと笑い、
「お前も結構、悲惨だよ。」
と言った。
え?

アタシの席も、
全く変わっていなかった。
つまり、
また健ちゃんと隣。

周りからは
「腐れ縁」
って言われたけど・・。

好きになってからも
それが続いて欲しい。
アタシはそう思った。
**************