そう思うと、あたしはナオのことをよく知らない。
おそまつな話だが、あたしが自信を持って言えるのは、ナオがプリンが好き、ということだけだ。
それも、「食べ物の中で一番プリンが好き」ということではない。
ただ単に「プリンは好き」。
ただ、それだけの情報。
一緒に住み始めてもう半年にもなるのに。
好きなパンの種類はおろか、どこで生まれて今までどうやって生きてきたのか。
そんな基礎的なことすら、実は知らない。
このマンションの部屋は自分のものだと言っていたけれど、同じ20歳として、それも不思議な話だ。
お金持ちなの?とか、親はどうしてるの?とか、よくよく考えると質問すべきことは山ほどあった。
何も知らない。
あたしがすすんでそういう質問をしないからだとも思うけど、ナオもそういう話をあえてしようとしない。
いや。
ナオは、「自分」、というものを一時的にでも、前面に押し出すことがほとんどない。
