俺はわかってた。
ミオが軽そうな男を連れてみんなの前に現れた時、
よく考えたらすぐわかることなんだ。
あいつがあんな男を選ぶわけがない。
それは、数日後、街であの男を見かけて確信に変わったんだ。
でも、それだけミオは俺と別れたいんだ、ということが痛いほど分かった。
苦しくて、苦しくて、
ミオを恨もうとも思った。
わけがわからなかった。
数週間前まで、俺の隣で幸せそうに笑ってたあの彼女がなんで急にいなくなるのか全く分からなかったから。
「好きな男ができた」
そんなウソをついてまで、なぜ別れたかったのか、全然理解できなかった。
それでも、残酷に時間は過ぎる。
ミオと連絡が取れなくなって、俺は毎日やけになってた。
医者になるということも、ばかばかしいとさえ思うようになってた。
そんな時、雅が俺の婚約者だって、母さんから紹介された時は正直驚いたけど、
もうその頃は、感情がなくなってた。
何でもいいと思ったし、
母さんはなぜか何度も何度も謝るけど、婚約者がいたことを黙ってたことは俺にとってはもうどうでもいいこと。

