**LOVERSⅡ** 忘れられない笑顔


月の美しい夜には彼女を思い出す。


幸せになって…。


蒼白い月光の陰影を受け微笑むと、彼女は静かにそう言った。

彼女の最後の笑みは、今にも月の光に溶け込んでしまいそうな儚さで、月に還るかぐや姫は彼女のような表情で別れを告げたのかもしれないと思った。

何故、俺は彼女を哀しませてしまったのだろう。


彼女と出逢ったのは大学2年の春。

一つ年上の彼女はしっかりした優等生タイプだった。

ミスキャンパスにだって負けない美貌とスタイル。

おまけに優しくて明るくて人気もあったら、誰もが密かに憧れるマドンナのような存在だった。

そんな彼女が、一つ年下で勉強だって並の俺なんかの告白に頷いてくれた。

本当に付き合ってもらえるなんて思ってもみなかったのに、サークル仲間と来た居酒屋で、たまたま友達と来ていた彼女に酒の勢いを借りて告白してしまったんだ。

あの時は、頷いてくれたことが信じられなくて、翌朝、自分の携帯に彼女の番号を確認して、初めて昨夜の事が夢ではなかったのだと、大喜びをしたっけ。