どこで狂ってしまったのだろう。

どこから壊れてしまったのだろう。

あの時、私から甘えていたら、何かが変わっていただろうか?

あの時、私が素直に泣いていれば、私を選んでくれていただろうか?

虚しい事だと分かっていても、胸を占めるのは後悔ばかりだった。

やがて小さく息を吐くと、あなたは何かを決意したように顔を上げた。

私を振り返り、小さく深呼吸してから唇を動かす。



……言わないで…



私はその唇を最後のキスで塞いだ。

冷めてしまった私への想いのような、とても冷たい唇。

私の知っている唇が紡ぐのは、優しく甘い愛の言葉だけ。

大好きだったあなたの唇から別れの言葉は聞きたくない。

幸せな記憶を哀しみで染めたくないから、最後の言葉は私が言うわ。