だけど、あなたの望む色の服を着て、望むままに行動するうちに、大好きだったピアノもサークルも制限されていった。

私の世界の中心はあなただけになり、徐々に友達とも疎遠になって、一人で居ることが多くなった。

『私らしさ』という輝きは徐々に失われ、あなたが愛していた私が薄れていくことにも気付かず、いつしか、ただ言われるままにあなたを待つだけのつまらない女になっていた。

そんな時、ちょっと我が儘で甘え上手なサークルの後輩にあなたが心を動かされたのは自然なことだったのかもしれない。

年上の私には甘えてばかりのあなただったけれど、彼女の前では大人の顔で接していたんでしょう?

慕ってくれる甘え上手な後輩は、きっとあなたの自尊心を擽ったのでしょうね。

素直に甘える…そんな私が望んでも出来なかったことを、自然に出来る彼女が羨ましくて、あなたの知らないところで泣いていたなんて、きっと想像もしていないでしょうね。

だけど…あなたはきっと私の元へ還ってくると信じていた。

たとえ一時(いっとき)心が揺らいでも、安らげる場所は私であって欲しいと祈っていた。

でも、あなたは安らぎよりも、トキメキを…

甘えることよりも、大人になることを選んだ。