◆LOVERS◆ 大人の恋の短編集


「闇夜に浮かぶ魔を呼ぶ月よ。私達はあなたの前で永遠の愛を誓います」

私は彼の手に握らせると、自分の胸に彼の血を含んだ切っ先をあてがい、一気にを沈めていった。

深く、鋭く、身体を貫く熱。

痛みは感じなかった。

血だまりに横たわる愛しい者の腕の中に崩れ落ちる。

二人の血が一つに混ざり合い、永遠の鎖となる。

狂気を孕む愛が紅い月を輝かせる。

血だまりに映った魔月は、悲しみに染まり一層赤みを増していった。



ねえ、お月様 見ていてくれた?



――私は…とても幸せよ




+++ 魔月の内緒話 Fin +++