◆LOVERS◆ 大人の恋の短編集


次の日の朝学校へ行く前に俺は病院へ向かった。

短い時間でもいい。ほんの少しでも茜に早く会いたかった。


茜は真っ白な部屋に眠っていた。

もうずっと目を覚ましていないという。

俺は茜の傍に立ち、手を取って語りかけた。


「茜、起きろよ。いつまで寝てんだよ。もう、夏休みは終わったんだぜ?」

茜は何も言わず眠り続ける。

「もう2学期始まってるんだからさ、いつまでも寝坊してんじゃないぞ?」

いつものように軽口で言ったら茜が『寝坊なんてしてないもん』っていったような気がした。

「また、一緒に学校に行こうな?」

俺は茜の額にキスを一つ落として病室を出た。


また、夕方来るよ…。そう言い残して。