次の日の朝学校へ行く前に俺は病院へ向かった。
短い時間でもいい。ほんの少しでも茜に早く会いたかった。
茜は真っ白な部屋に眠っていた。
もうずっと目を覚ましていないという。
俺は茜の傍に立ち、手を取って語りかけた。
「茜、起きろよ。いつまで寝てんだよ。もう、夏休みは終わったんだぜ?」
茜は何も言わず眠り続ける。
「もう2学期始まってるんだからさ、いつまでも寝坊してんじゃないぞ?」
いつものように軽口で言ったら茜が『寝坊なんてしてないもん』っていったような気がした。
「また、一緒に学校に行こうな?」
俺は茜の額にキスを一つ落として病室を出た。
また、夕方来るよ…。そう言い残して。



