『私と付き合うのは辛い事もあるかもしれない。でも後悔だけはしないで欲しいの。私も決して後悔しない』
茜の言葉を思い出した。後悔するかもしれないと、俺の告白を最初に断った理由。
『生きている時は今しかないから、私、自分の気持ちに素直になりたいの』
茜は知っていたんだ。
辛さも、苦しみも、不安も微塵にも見せずに、全部独りで抱えて真っ直ぐに俺に向かってきてくれた。
茜の強さに俺は自分の存在の小ささを感じずにはいられなかった。
負けていられないよ。茜
俺、お前を大事にするって決めてるんだ。
絶対に後悔しないしさせないって言っただろう?
独りには絶対にしないよ。
最期の時まで……。
俺は真っ直ぐにお父さんの顔を見た。
俺の気持ちが伝わったのか、お父さんは何も言わずに頷いてくれた。
「行きます、俺。茜の所へ…病院を教えて下さい」



