だけど昨日、あなたがあの娘と笑顔で話しているのを偶然見かけた時、私の中で何かが砕けた。

数ヶ月前まではいつだって私の隣にあったはずの笑顔。

いつしか私を見つめるあなたから、笑顔が消えていたことにも気付かないほどに、私は自分の事だけに必死だった。

あなたを引き止めることばかり考えて、あなたを想う気持ちは二の次になっていた自分にようやく気がついた。


私達はもう戻れない…。


もう、現実を受け入れるしかなかった。



私が呼び出した時から、あなたは心を決めていたようだった。

何も言わなくても、今日がその日だと、私の雰囲気からも感じたのだろう。

「俺が悪いんだ」と一言だけ言って黙り込んだあなた。

私は黙って首を横に振り、ラジオから流れる哀しい曲に耳を傾けた。

流れるBGMは二人が幸せだった頃に流行っていた別れの歌

あの頃はカラオケで歌っても何も感じなかったのに…

今は細い悲鳴のような女の声が、胸を焼くように苦しい。

鮮やかに蘇る思い出が重なり、切ないほどに哀しかった。