あれから5年…。

それなりに恋はしたが、どれも長くは続かなかった。

一つの恋が終わるたび、より鮮やかに蘇るのは最後の夜の彼女の笑顔。

痛みを押し付けてしまった俺を、彼女は憎んでいるだろうか。

それとも俺の事など、とうに忘れてしまっているだろうか。

どうして重いと感じたのだろう。

彼女に我慢を強いていたのは俺自身だったのに。


彼女は羽を切られ鳥篭に閉じ込められた鳥だった。

俺は自由の無い彼女を愛でるだけ愛でて、最後には飛べないことを責めて捨てたのだ。

彼女の自由を奪い、縛りつけていたのは自分だったことから目を逸らして…。

俺は彼女の寂しさを、不安を、感じてやったことはあっただろうか?

彼女の微笑みの裏に隠された本音を、考えてやったことはあっただろうか?

彼女は一度でも俺に甘えたことはあっただろうか?