「あの?書いてもらえます?もう1回説明しましょうか?」


ぐっと顔をさらに近づけてくる。


まっピンクに染まってしまったであろう私の顔が,やつの目の中に映っているのが見えるくらい,近かった。








「あぁ!はいっ…か,書きますっ……」


急いでやつの顔から紙に目をおとして,サイン欄に渡されたボールペンでサインをした。



この借りたボールペンを使ってるだけで,この右手の指先から,もっとまっピンクになってしまいそう。





落ち着け…落ち着け…

暗示のように唱えながら名前を書いた。




「はい,OKです。こちら説明書になるので,持ってて下さい。明日手術になりますが,親御さんに少し早めに来てもらって下さい。親御さんにもサインしてもらわないといけないので。」
といって,私の手からサインした紙をするりととった。


やつは立ち上がって去ろうと私に背を向けたが,急にくるり,と振り返った。







「言い忘れてましたが,私の名前は尾上大輔。あなたの担当です。よろしく。何でも言って下さい。
ちなみに,私の好きな色は黄色。ピンクはあんまり好みではありません。」


そういって,出て行った。
去り際,やつの口元が少し,笑った様な気がした。






てか,今頃自己紹介?
普通,初対面にだよね。












てか……!!!!!



絶対あのピンク発言,私のパンツ意識して言ってるよ…!!!!

しかも絶対笑った…!!
あの不気味な笑みが脳裏をよぎった。









やっぱり最低っ!!!!!!!


誰か,担当医,替えて―――っ!!!!!!!!!!