――10時,車に乗り込む。
浮かない表情の私。
「ってかお母さん!!私,そんな,痛いなんて,聞いてないよっ!!」
母にすがりつくような声で訴える。
「あんたそんなの痛いに決まってるでしょう!」
前を向いてハンドルを握りしめたまま言った。
「えぇ~!?だって,TVとかで手術しました~とかやってるけど,痛いとか言ってないじゃん!!治りました~ってだけ言ってるじゃん!!」
「そりゃあ,毎回毎回は言わないわよ,そんなの常識だし。」
「そんなの常識の範囲外だよ~…聞いてないよ…!」
私は手術を完全になめていた。
ワクワクした自分を悔やんだ。
「ほら,着いたわよ。荷物,全部出して!」
まるで海外旅行に行くかのような荷物の量。
入院なんてしたことなかったから,母と,
こんなに沢山なものかなあ~
ととりあえず全部持って来てしまった。
相変わらず綺麗な病院。
この病院を見ただけで,テンションが上がり,不安なんて忘れちゃった!!
そんな,単細胞な私。
受付を済ませて,まもなく看護士さんが現れた。
「こちらですよ。」
と先導してくれた方についていった。


