今日は終業式。
通知表ももらった。
まずまずの成績。
1学期最後のSHRで担任が,
「お前ら,夏休みは有意義に過ごせよっ!!余裕こいてたら,あっという間に来年が来ちまうぞ!
そう,来年は受験生だ。
その自覚をもつように!
まだ進路を決めてないやつは,夏休み中に考えておくこと。いいな―!?」
SHRも終わり,みんな散り散りに解散していく。
私は席についたまま,大掃除で綺麗にされた黒板をぼーっと眺めた。
担任のやつ,1番大きな宿題残して行っちゃったじゃん…。
私はまだ進路を決めてない。
ただ真っ暗な闇を,ひたすら光を探して走り続けている。
そんな簡単に決められっこないよ…
はぁ。と溜め息をついた。
入院で盛り上がってたテンションはがた落ち。
頬杖をつきながら久しぶりに溜め息をついた。
「何だよ,溜め息なんて。らしくないじゃん。」
そう言いながら,私の前の席の椅子にこちらを向いてまたがった。
「小早川……」
あの一件があって,しかも強がって嘘までついていたとしってからは,何だか気まずい。
「い…いやっ!別にっ!?ただ…まだ私進路決めてなくってさ。」
「なあんだ,んなこと?俺は決まってるけどね~」
ピューと口笛を吹いてみせた。
「えっ!?何なの?」
「俺!?レンタルビデオ屋の,店長。」
なんつって~,何ておどけている。
「何それ!?」
呆れて口も閉まらない私。
「いやいや,俺も決まってないし,心配することないって!」
こうしてしばらくの間,しょうもない事など色々話した。
久しぶりに喋って,楽しかったし,いつしか何も意識せず,自然と,小早川と接する事ができるようになっていた。
心にずっとあったもやもやも,すっと消えていった。
本当に良かった。
これで,一安心だよ…。


