「柊さ~ん,柊しおりさ~ん。診察室1にお入り下さ~い。」
予約をすませてもらっていた私は,割合早く呼ばれた。
……と言っても2時間待ったけど…。
中に入ると,カマキリ先生よりは年をとっていそうな雰囲気の先生が1人座っていて,背の高い看護士さんが1人立っていた。
先生は小柄で眼鏡をかけていて,可愛い印象をうけた。
それにすごく,優しそう。
「柊しおりさんですね,成田整形外科さんから,おでんわありましたよ。わたしは,しゅようかんけいにたずさわっています,荻田州平って,いいます。」
といいながら,先生の胸についている写真付きの名札を指差した。
何だか幼稚園児に喋りかけているかのような口調,表情で私に接してきた。
私,そんなに幼稚にみえるのかなあ……?
初っぱなから少し,がっかりした。
相変わらずニコニコしながら,
「私はね,小児から大人までの幅広い年代で,
骨肉腫,リンパ腫などの腫瘍をもつ患者さんを診察しているんです。
前もって成田整形外科さんから送られてきていた,柊さんの左足のMRIのフィルムを見たんだけど,柊さんの場合,血管腫,って言うもので,悪性ではないですよ。
この血管腫ってものが,筋肉中にあるから,運動するに伴って痛む,という訳だね。」
と一通りの紹介と簡単な説明をした。
この先生,小さい子も相手にしてるから,こんな口調でやたらニコニコしてるんだ…
と1人で勝手に納得した。
だから,がっかりした気持ちは消えていった。
「じゃあ,ちょっとそこに横になってちょうだいね。」
と言われたので,荻田先生の指差した先にあるベッドに寝転んだ。
患部を触って腫れを確認したり,変色していないか,
動きにくい方向や,触ると痛い部位などを確かめた。


