「おはよ~!」

美砂が駆け寄ってきた。

「おは~!」


最近の自分流の挨拶。めんどくさいから何でも略してる。
おはよう,も最近では,おは~,に略してる始末。




「しおり!!大丈夫だった!?遅刻はしても,今まで休んだことないしおりが突然休んじゃったから…」


「あっ!!大丈夫,大丈夫!!足の!!検査が出たって連絡があったから行ってたんだあ!」


焦っている美砂を諭すように言う。


「そっかそっか!!足,検査したって言ってたもんね!
…で,足,どうだった?」


私の足に目を移しながら聞く。


「あ~…足?っな,何か…腫瘍があるんだって!」


今出来る精一杯の笑顔を作った。


「腫瘍!?だだだ大丈夫なの!?」


ますます美砂が慌てだす。
自分も友達の足に腫瘍ができたなどときいたら,同じ反応するはず。


「うんっ!!何ともないよっ!!今まで気付かず運動してた位だからっ」


ぎこちない笑顔のまま,左足を前後にふってみせた。




「しおり~?何か…無理してない?」


美砂は私の顔を覗き込んだ。







やっぱり,美砂にはお見通しなんだ…。
「腫瘍って聞いて…大丈夫なんだけど…でもっ…不安で…」




急に涙が溢れ出した。

今までせきとめていた全ての思いと共に。







「無理して振る舞わなくていいよ。私の前ではね。」







そういって美砂は,ずっと,私の肩を支えていてくれていた。