「…で?今日はどうされましたか?」
やる気がないような,張りのない声で
ちらちら横目でこっちを伺いながら聞いてくる。
「あっあの…左足の太ももが昔から痛くて…」
「昔から痛いのに,今までほうってたの?」
嫌みな目が分厚いメガネを透かして私を見てくる。
…嫌みな先生っ。
「病院には通ってたんですが,どこの病院にもわからない,と言われまして…。」
嫌悪感に黙りこくってる私の代わりに母がとっさに答えた。
「…そうですか。じゃあそのベッドの上に患部が見えるように寝転がって下さい。」
そして色々聞かれたり,足を動かされたり,触診されたしした。
触るだけで痛いから触診は辛かった。
「ん~…。相当痛がってるねえ…。腫れてるかといえば多少腫れてるともいえるが…。
まあ足の太さも左右差があって,左足を庇うように普段から歩いているせいか,右の方が太く,左は痩せてますね。
仮病ではなさそうですね。」
割合今までの医者の様にすぐ決めつけるのではなくて
しっかり診断してくれることが嬉しかった。
嫌みっぽいけど,何だか自分の病状を理解してもらえたようで
嬉しかった。
「念のため,腰と左足の太もも,股関節のレントゲンを撮ってもらいましょう。」
「こちらへどうぞ。」
看護士さんが先導してくれた。
カマキリ先生に軽く会釈して,看護士さんについていった。


