「お母さん,迎えに来られましたよ。」
携帯を見ると,もう2時30分を回っていた。
もうこんな時間か…。
いよいよ,今度こそお別れ。
本当の旅立ち。
きっと,この病院に入院することは一生ないだろう。
この病院は有名だから,少しの,些細な事では入院出来ない。
自分の意志でこの病院に入院するとは決められない。
入院することは嬉しい事じゃない。
でも,もうこの病院と関わりがなくなると思うと悲しかった。
顔を覚えかけた看護士さん,受付の人,
そして,先生。
出会った事は奇跡だったんだ。
ある意味運命。
もし…に私と先生が繋がっているなら,また…必ずどこかで会えるはず。
涙を拭いて,そう信じた。
看護士さんにお礼を言って,1歩ずつ確実に地を踏みしめ,ゆっくり,外へと向かった。


