痛い…
かなり痛い…
何時間も座っていた私は,足の激痛に耐えきれなくなっていた。
それと共に,今まで抑えていた気持ちが一気に溢れ出し,涙がとめどなく流れてきた。
しょっぱい,涙。
両手で顔を隠し,楽しそうな笑い声に包まれているデイルームで,場違いな感じで,泣いた。
「どうしたの?!…痛いの!?」
顔を上げると,田原さんがいた。
退院手続きの書類を渡すために,私を探していたらしい。
まだ部屋を出なくても良かったのに,私がもう部屋を空にして出てきていたからだ。
あまり長くいると,離れられなくなっちゃうから。
思い出ある,あの部屋を早く去ったのだ。
「処置室あるから…そこに行こう?」
そういって車椅子を持ってきた。
処置室に行くのを渋っていた私を,看護士さんが説得する。
説得に折れた私は,看護士さんの押す車椅子に乗る。
乗るのにも一苦労。
何だか看護士さんに迷惑をかけてしまって嫌だった。
私は看護士さんの顔色ばかりを伺っていた。


