「…柊さん?点滴しますよ?」
ぐっと顔を近づけてきた田原さん。
「わゎっ…!はっ,はい!!!!!」
ぼぉ―っと物思いにふけっていた私は田原さんが来ている事に気がつかなかった。
体温と血圧をいつも通りに計る。
やっぱり体温はいつも通り37℃台。
点滴を朝,晩の1日2回その都度刺すことになっていた。
昨日の晩もしたから,左手には2個目の針穴が出来る。
別に右でしてもいいんだけど,手術と術前検査の時の採血の後が青く,痛々しく残っているから
看護士さんが気を遣って左にしてくれてるみたい。
「柊さん,今日元気ないみたいですね…。どうかしましたか?」
左手を縛って,点滴を刺すのに恰好な血管を探しながら田原さんが尋ねてきた。
「いえ…何も。大丈夫です…」
力無く答えた。
「そうですか…さっきも素っ頓狂な声出して…私に気付いてなかったみたいだし,朝ご飯も…あまり食べていないみたいだし…。」
健康チェック表のご飯を食べた量の表記を見て田原さんが言った。
「いえ…ちょっと昨日の夜色々食べ過ぎて…」
テヘヘ,と笑った。


