「あっ…ありがとう…ございますっ…」
さすってくれてる事にお礼を言おうとしたけど,恥ずかしくって,俯いてじゃないと,言えなかった。
しかも
『素直になれよ』
って,命令じゃない!?
今まで堅苦しく,バリアをがちがちにまとっているかのような話し方だったのに…
わざと?
それとも,事故…?
あの強い言葉,
その時の鋭い眼差し。
つい,ドキッとさせられてしまった。
私,何期待してんだろ?!
私,仮にも彼氏,いるんだよ?
こんな事,駄目なんだよ?
何ときめいちゃってんの?
私の中の小さい悪魔が私にそっと,耳打ちする。
あんたなんか,無理だよ。
あんたみたいな子ども,誰も相手になんかしないよ。
分かってる…
分かってるよ…でも…!
でも,こんな気持ち,初めてなんだ…
こんなにも,人の事を
愛しく感じた事はない。
ドキドキしたことはない。
この人と,ずっと居たい,って思った事はない。
私の中の本当の自分が,悪魔の耳打ちに対抗した。
神様,こんな私でいいですか…?


