「頑張るんだよ。」
母はそういってタンスの中を整理する。
「頑張るのは,先生だって。」
本当はそりゃあ,不安だよ?
怖いよ?
色々されるんだもん。
切られたり,口にチューブ通されたり,おしっこの管通されたり。
話に聞いただけで,怖かったもん。
「失礼します。すみません,お母さん,こちらにサインしてもらえますか?」
昨日来てくれた看護士さんが昨日,やつが持ってきたのと同じ,輸血の同意書を母に渡した。
簡単に昨日やつが私にしたような説明を,看護士さんが母に行っていた。
「はい,ではここに書いたらいいんですね?…」
母は鞄からペンを取り出して,さらさら,と書く。
なあんだ。あいつが来るんじゃないんじゃん…来るみたいな事昨日言ってたくせに。
「はい。有難うございます。では,柊さん,そろそろ時間なので,行きましょうか。」
「はい。」
いよいよだぁ…
あのドラマみたいにベッドに寝転がって,コロコロされるのかなあ…!
「柊さん?行きますよ?!」
「はっ…はい?」
「中通路に手術室直通のエレベーターがあるので,そこから歩いていきましょうか。」
ん?!?
歩いて!?
嘘~っ…
若干ショック。
「分かりました。」
コロコロされるつもりだったベッドから降り,靴を履いて,看護士さんの後についていった。
「では,終わりましたらお母さん,ご連絡します。」
看護士さんはそういって,私を先導した。
「しおり,頑張んなさいよ!」
母の声を受け取ってエレベーターへ向かった。


