ガラガラ―! 突然のドアの音にびっくりする。 振り返れば笑顔の千夏の姿。 「香奈実―っおまたせ! 帰ろー…って、誰?」 窓の外にいる彼を見て、あやしげに見つめる千夏。 「え―っと…」 「じゃぁまたね。」 え? 窓の外には、もう彼はいない。 慌てて身を乗り出せば、靴箱へと向かっていく姿が見えた。 「なんなんだ…」 「ナンパされてた?」 千夏をキッと睨んで否定した。 「じゃ…誰?知り合い?」 「…わかんない。」 彼が誰なのか、あたしにもわからない。 あたしの好きな人。 …それだけ。