どうせ笑うんだろうな、と思っていたらあっけらかんとしたロ調で
「それだったら早く聞いてくれればよかったのに。」
と、言った。
あれ?この人笑わないのかな…。
予想外の反応にビックリするあたし。
「どうかした?」
「あの…。笑わないんですか?」
「なんで?」
「なんでって…。だって高校生にもなって迷子になるなんておかしいでしょ・・。」
「おかしくなんかないと思うよ。だって人生に失敗することなんて1回や2回はあるんだから。」
「はぁ~…。」
なんか案外(と、言っちゃあ失礼だが)顔に似合わず(これまた失礼)真面目なことを言うんだなぁ。
じゃ、なくて!!
もうそろそろ学校に行かないと本気で遅刻しそうになる(泣)。
「あ、あの!学校は…。」
「学校はここをまっすぐ行って、あそこの店を左に曲がったらそのまま行くと学校の建物がみえるから。」
「ありがとうございました!」
おじぎをして立ち去ろうとした。
と、その時。
「何年生なの、君。」
と聞かれた。
「あたしですか…?」
「うん、そうだよ。」
「1年です。」
「へぇ~、じゃあまだ高校生なりたてなんだ。」
ニコッと笑ったその顔にあたしは不覚にもドキッとしてしまった。
向日葵に似たその笑顔はキラキラしていて本当に綺麗で、至って普通の少年にみえた。
少しだけ胸がチクッとした。
何なんだろう、この感情は…。
「俺は上田真(まこと)。君は?」
「佐々倉サラです!」
「サラちゃんか。俺は2年生だけど、またどこかで会えるよね。」
「会えますよ、きっと!」
「そっか。じゃあ、またね!」
”またね!”という言葉があたしの胸にきざみこまれた。
またどこかで会えることを願って、あたしは学校に向かって走りだした。
「それじゃあ、また!」
これがあたしと真の出会いだった。

