どれぐらい走っただろうか。
気がつけば学校の方とは全然違う、団地に来てしまっていた。
どこをどう走ってきたのかもさっぱりわからなかった。ただ無夢で走っていたのは覚えている。
「あれ…?ここどこだろ・・。」
辺りを見回すとマンション、マンション、マンション、家一軒ですら建っていなかった。
誰かにきこうにも、人っこー人いない…。
見なれない所でまさか迷子になってしまうなんて、ほんとなさけない。
早く学校に行かないと遅刻しちゃう。
「もぅマジ泣きそうぅ~~~。」
なんとも言えない想いに押しつぶされそうになり、しゃがみこんでしまった。
しかも道路の真ん中で。
どうしようかと本気で悩んでいると後ろから肩を2・3回たたかれた。
突然のことにブクッと体を震るわせおそるおそる振り返ってみると、そこにいたのは長身の顔の整った男の子が立っていた。
「こんなとこでしゃがんでたら危いよ?」
「あ、あの。えぇ~っと…。」
「あ。もしかして気分悪い??」
「ち、ちがいます!」
「?だったらどうして?」
「……。」
なんて言ったらいいんだろぅ。
まんま『迷子です。』っていうのもはずいし。でも…。
あれこれ考えこんでるとその男の子はあたしに手をさしのべた。
その突然の行動にビックリして目を丸くするあたし。
「とりあえず立ちろう?ほらっ。」
「あっ、ありがとう…。」
素直に手を差し出すと、グイッと引っぱられた。
腕はあたしと同じぐらいの細さなのに以外と力は強くてすこしドキドキしてしまった。
男子に手をにぎられるなんて初めて。

