今思うと、家族そろってご飯を食べるのってあんまりないような気がする。
ううん…。
あたしが高校生になりたてぐらいから一緖に食べてないや。
ほとんどあたし一人でこのテーブルに向かって食べてる。

「ほら。さっさとご飯食べちゃってちょうだい。期末テストも近いんだから、部屋にもどって勉強でも…。」

またでた…。
そんなことは言われなくたってやるっつーの!!

「うっさいなぁ……。」
「こら、サラ。母さんにむかってそのロのききかたはないだろう。母さんにあやまりなさい。」

ちょうどお風呂から出てきた父さんが、白いバスタオルで頭をふきながら母さんのことをかばう。
いつもいつもあたしが悪者扱い。
あたしがなにしたっていうんだよ。本当親ってウザったい。

ご飯を一気にロにかきこむと父さんと母さんに向かって鋭く睨んだ。

「なんだその反抗的な目は。」
「…ごちそうさま。」

顔を背けると、二階の自分の部屋まで勢いよく階段を上がっていった。

「待ちなさい、サラ!」
「サラッ!」


バンッッッ!!!



「はぁっ…はぁっ…。」

ゆっくりとドアにもたれながら床に座わった。
まだ少しだけ早い鼓動を抑えながら、膝を抱え込み顔を埋めた。

毎日のように勉強、勉強って…あたしにだってたまには息抜きぐらいしたいよ。
そりゃあ勉強だって大切なことぐらいわかってる。
けど、でも。
勉強全てが人生じゃない。





「”恋”したいな……。」








ポツリとつぶやいたあたしの声は、深い暗闇に消えていった。