それは気まぐれな一言に過ぎない。
けれども少女が頷いたのを見て、従者は言葉を失った。
次の瞬間、ふわりと抱き寄せられた少女の金の髪が揺れ、白いドレスが翻る。
平民の娘なら、まだ、打つ手もあるだろう。
だが相手は敵国の姫君なのだ。
「カイル様、その者をどうなさるおつもりなのですか!」
「死体は見飽きたと言っただろ?」
平然と告げた少年は、少女に向かって微笑んだ。
「良いというまで、目を閉じておいで」
限りなく優しい声。
それは従者が初めて耳にする、少年の少年らしい声音だった。
少女は安心したように目を閉じる。
扉の向こうは死に覆われた世界。
ほのかにバラの香りのする少女を抱きかかえ、少年は静かに足を踏み出した。
けれども少女が頷いたのを見て、従者は言葉を失った。
次の瞬間、ふわりと抱き寄せられた少女の金の髪が揺れ、白いドレスが翻る。
平民の娘なら、まだ、打つ手もあるだろう。
だが相手は敵国の姫君なのだ。
「カイル様、その者をどうなさるおつもりなのですか!」
「死体は見飽きたと言っただろ?」
平然と告げた少年は、少女に向かって微笑んだ。
「良いというまで、目を閉じておいで」
限りなく優しい声。
それは従者が初めて耳にする、少年の少年らしい声音だった。
少女は安心したように目を閉じる。
扉の向こうは死に覆われた世界。
ほのかにバラの香りのする少女を抱きかかえ、少年は静かに足を踏み出した。



