「…あたしも、彼女みたいにありのままの姿を撮られたい。
一ノ瀬さんにまっすぐ見てもらいたいんですよ」
感情に任せて一ノ瀬さんの背中に手を回しながら口を開けば、出てくるのは不満の言葉だけだった。
「あのアルバムの写真を見て、一ノ瀬さんの思いが伝わりました。
だから…純粋に彼女が羨ましい。
今まで何枚も写真を撮ってもらったけど、あたしは着飾ったし一ノ瀬さんはあたしを美化して撮って…あたしは何人ものモデルのなかの一人なんだってはっきり分かって。
ほんとのあたしなんて興味ないのかなって思ったら悲しくなって…」
「奈津子…」
なんだか変なの。
あんなに今まで必死になって嫉妬とか不満を隠していたものが次々と剥がれ落ちていくんだもん。
そんな風に思いながら、一ノ瀬さんを困らせている自分に嫌気がさす。


