「ねぇ、一ノ瀬さん」


「ん?」


「そのままで聞いてくれますか?」


こちらを見つめて彼女がそう聞いてきた。


「どうした?」


改まった声の調子に、思わず肩に力が入る。

それでも真剣な眼差しをこちらに向ける彼女をしっかりと写真に残した。



「私…高宮さんの本を読んで、一ノ瀬さんがこの前言っていたことがよくわかりました」


…このタイミングでその話題か。
あんな夢を見たせいもあり、余計に気まずいんだけど。


「一ノ瀬さんがどういうつもりで言ったのかはよく分からないけど、私、一ノ瀬さんのこと、ちゃんと信じてますよ」


口が開いてしまった。


「…でも、撮影はこれで最後にしてもらおうと思って」


どうしたらいいんだろう、全く話が見えないんだが。