「それならそうと言ってくれればよかったのに…」


「だって…そんなこと言ったら
君のことだから、絶対変に力入るでしょ?」


「…はい」


返事を聞いて満足そうに彼は笑った。
私が思ってることは、何でもお見通しなんだろうなぁ。

…こっちは何も分からないのに。


不貞腐れた顔でもしていたのだろうか。

突然彼のキスが降ってきた。


「…どうしたんですか?」

「ほんとに表情豊かになったなって思って」


本人に自覚は無いんですけど…


「面白がらないでくださいよ〜…」


「ただ単に喜んでただけなんだけど」


余裕な顔でそんなこと言う一ノ瀬さんが憎らしかった。