やっぱり私は…
何も分かってなかった。




頭がふわふわする。
自然に瞼が重たくなる。
何でだろう?私の頭も季節と同じく春仕様?



こんなことをもう何分も考えているお馬鹿な私、笑は、この名前の通りいつもヘラヘラ笑ってる。
別に愛想笑いとかじゃないんだけどなあ。
こういう人間に生まれたってだけなんだよ。



もう3月も終わりに差し掛かった春日和の朝。
ぽかぽかした外に暗示をかけられたかのように1人、こんなしょうもないことに時間を使ってしまう人間は、きっと稀だろう。
もう今日から登校日だというのに、笑は全く時間を気にしていない。
たまにゴロゴロ寝返りをうつせいで、ベッドが少し軋む。

風の音でも聴こえたなら、少しはこのぼーっとしてしまった頭がスッキリするかもしれないのに。

そんな時、ふと枕元の時計が目に入った。


"AM 07:59"


「やばい、完全に遅刻だ…」


笑の学校は、8時45分から授業が始まる。
その前に、キリストを信仰している学校故に、"朝のお祈り"という時間が15分設けられる。遅刻にならないためには、8時半までに教室に入らなければいけない。

それなのに、笑は8時に起きてしまった。
マイペースな自分の朝の時間配分に大分後悔しながら、慌てて制服に着替えた。
こういう時に限って、ボタンが1つずれてしまう。



「もう!何でずれてんのよ…っ」


グダグダと1人で文句を言いながら、時計に目をやる。
もう制服はなんとか着れた。ちゃんとスカートも折った。

外では小鳥たちがのんきに囀っている。


「ちょっと本当ありえない、私。新学期早々遅刻なんてしたら、またシスターに怒られちゃうじゃん!」



そう。笑は学校でも有名な遅刻常習犯なのだ。
それは自分でも分かっている。
なのに、一向に直そうとしない。


そして結局、家を出た時、時計は


"AM 08:37"

と表示していた。






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