「ありがとうございました。…え、あ、お客さん!これ!」

「え?…あ、やだ〜!」


買った商品を持たずに、店を出ようとしていた彼女。


「あはは、どーもぉ!」

「あは。ありがとうございましたぁ。」



流行りの服を着こなしているが、
決して派手とは思わなかった。

それは多分、
同じような格好をした女の子なら、いくらでも見かけてるからだと思うけど、

それでも伸治は、
彼女のことを
店に入って来た時から、しっかり目で捕らえていた。


タイプと言うのとも違う。


伸治は、化粧の濃いのは好きではなかった。



悪く言えば、
敬語を知らない小娘だけど、
良く言えば、
気さくな感じで、
生意気と思わせない…

って言うか、
かなりそそっかしいことが分かる。


「大丈夫かなぁ…」


驚いたことに、心配までしてる。
しかも、
そのことに自分で気付いていない。


そしてその日、
それ以上は、彼女のことを考えることもなく、

バイトを終え、
そのコンビニと同じビル内であるワンルームマンションの、
自分の部屋へと帰るのだった。