初めての4人での飲み会の帰り道、
ちひろが由衣の家に泊まると言うので、
コンビニの前で解散をした。


皆が微酔いで上機嫌な中、
伸治は、腑に落ちない様子を隠すのに必死だった。



あの日の由衣は今日のことを、
確かに、初めて聞くような反応をしていたはず。

だとしたら、

(アレは演技だったのか?)


その前に、いつソレを知ったのかが重要なワケで…


「最近、由衣と会った?」

伸治は、吉野に聞いた。


「最近?…あ、いつだったか、朝、大学に行く時に駅で会ったことがあったよ。」

「ふーん。そーなんだぁ。」

「なんで?」

「うん。(その時かな?)ちょっと。」


それがいつなのか、
正確には聞き出す勇気がない伸治。


そしてそれは、
表立って見せはしないものの、
いつまでも、疑問として頭のどこかに置かれ、
いつしか、不安の種となり、
不信の芽と成長していくのだった。


そもそも、
失恋の痛手を負った、ちひろにとって、
人の幸せほど傷口に染みるものはない。

しかも、由衣は以前の恋敵…

今回もまた“伸治を狙っている”とは言わないが、

無頓着な伸治によって、
この企画の土台が敷かれ、
ちひろが種を植えることとなったのは偶然なのか?